−聴覚障害児教育とその関連領域−

 

第52巻  第2号

2010年9月


 

研  究



















学会彙報


坂井美惠子村岡輝雄伊福部達
教員練習科の設置から盲学校聾唖学校の分離令まで−「大阪聾口話学校創立一ヵ年口話成績」の復刻について−
45-70

中瀬浩一
「聴能マトリクステスト」の有効性の検討(その2)−他の語音検査との併用について−

71-79

杉田律子工藤智子
小規模大学における聴覚障害学生に対する学習支援の在り方についての考察(1)−梅花女子大学における聴覚障害学生に対する学習支援の現状と課題−

81-92

 



ろう教育科学会編集

ISSN 0287-1548

 


 


教員練習科の設置から盲学校聾唖学校の分離令まで−「大阪聾口話学校創立一ヵ年口話成績」の復刻について−
Historical Outline of the Education for the Deaf from 1903 to 1923 in Japan.

坂井美惠子村岡輝雄伊福部達
Mieko Sakai
Teruo Muraoka & Tohru Ifukube

平成21(2009)年3月、大阪府立生野聾学校長坂井らは、校内に保存されていた「発音テープ」をきっかけに、私立大阪聾口話学校創立(大正15(1926)年)後に、医学博士加藤亨が作製したSPレコード「大阪聾口話学校創立一ヵ年口話成績」(昭和2(1927)年)を、東京大学先端科学技術研究センター教授伊福部達監修、客員研究員村岡輝雄がノイズ処理し、CD「寫音レコード あゆみ」として復刻した。そして、大阪帝国大学医学部耳鼻咽喉科初代科長医学博士加藤亨が、大阪聾口話学校を創立した経緯及びSPレコードを作製するにいたった背景並びにその影響について調査と考察を進めた。ここでは、医学博士加藤亨が大阪聾口話学校を創立する直前までを「教員練習科の設置から盲学校聾唖学校の分離令まで」として、明治36(1903)年から大正12(1923)年頃の聾教育の状況並びに関連する医学科学の発達状況について報告する。

キーワード: 教員練習科,盲学校及聾唖学校令,就学猶予免除,耳鼻咽喉科,加藤亨

  

「聴能マトリクステスト」の有効性の検討(その2)−他の語音検査との併用について−
A Study on the Effectiveness of Matrix Test for Auditory Skills (Ⅱ): Use in Combination with the other Speech Recognition Tests.

中瀬浩一
Koichi Nakase

筆者が開発した「聴能マトリクステスト」の有効性を、他の語音検査との併用事例から考察した。開発目的であった単語了解度検査やオープンセットの文聴取検査に移行する段階での聴能の評価法の一つとして活用できるとともに、子どもの状態や学校、担当者の裁量で自由にアレンジでき、応用的活用が多様に実施できることが確認できた。

キーワード: 聴能,語音検査,評価

  

小規模大学における聴覚障害学生に対する学習支援の在り方についての考察(1)−梅花女子大学における聴覚障害学生に対する学習支援の現状と課題−
A Consideration on the Present State of Learning Support Systems for the Deaf Students in a Small University.

杉田律子工藤智子 
Ritsuko Sugita & Tomoko Kudo

高等教育機関において、学生によるノートテイクや手話通訳等の情報保障を主とした学習支援が徐々に整備される中、小規模大学においては未だ学習支援が不十分である場合が多い。本研究では、梅花女子大学における聴覚障害学生に対する学習支援の現状と課題についてまとめた上で、小規模大学において学習支援を行う際の課題について検討した。

キーワード: 情報保障,ノートテイク,ボランティアルーム



 

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